棚田の歴史
棚田がいつごろからみられるようになったかは、正確にはわかりませんが、6世紀中葉~7世紀前半とされる飛鳥時代以前の古墳時代には出現していたとも考えられています。それらの棚田は、緩い傾斜をもった狭い谷の谷底にひらかれた棚田であったと考えられます。「棚田」という言葉が文書でみられるようになるのは室町前期で、1406(応永13)年の高野山文書の一つに、「今ハ山田ニテ棚二似タル故ニ、タナ田ト云」とあるのが最初だといわれています。
棚田の定義
棚田は傾斜地に階段状をなし、畦畔をつけて開かれた小区画の水田全般をいいますが、それでは、研究対象として定量的に把握することができません。中島峰広早稲田大学名誉教授(NPO法人棚田ネットワーク代表)は、農水省の「水田要整備量調査」のデータ(1988年、傾斜1/20以上にある水田が対象)を用いて「全国棚田分布図」を制作しました。今ではそれが一般的にも「棚田の定義」として広がっています。
※傾斜1/20とは、水平方向に20㍍進んだとき、1㍍高くなる傾斜のこと
棚田の種類
緩斜地の棚田
緩やかな谷の谷底などにひらかれた谷津田型や迫田型などの棚田。
緩やかな谷の谷底などにひらかれた谷津田型や迫田型などの棚田。
土坡(どは)の棚田
畦畔が土で固められた曲線の美しい女性的な棚田。東日本に多い。
畦畔が土で固められた曲線の美しい女性的な棚田。東日本に多い。
海辺の棚田
西日本の日本海側の海辺に多く、海面近くまで水田が及ぶ臨海型棚田。
西日本の日本海側の海辺に多く、海面近くまで水田が及ぶ臨海型棚田。
急斜地の棚田
1/6以上の急斜面に築かれた棚田。一枚当たりの面積も小さい。
1/6以上の急斜面に築かれた棚田。一枚当たりの面積も小さい。
石積みの棚田
畦畔が石で積まれて形成された力強い男性的な棚田。西日本に多い。
畦畔が石で積まれて形成された力強い男性的な棚田。西日本に多い。
整然とした棚田
場整備や機械が入りやすように整然と区画された棚田。
場整備や機械が入りやすように整然と区画された棚田。
【参考】『日本の棚田~保全への取組み』中島峰広著(古今書院)