設立主旨
中心になったのは棚田の荒廃に危機感を抱いた都市住民
棚田ネットワークは、1995年12月に〈棚田支援市民ネットワーク〉としてスタートしました。中心になったのは棚田の荒廃に危機感を抱いた都市住民で、目指したのは「手伝ってほしい人(棚田農家)と手伝いたい人(都市住民)をつなぐ」ことでした。2002年2月に名前を〈棚田ネットワーク〉とあらため、8月には東京都から特定非営利活動法人の認証を受けました。 現在は「棚田地域での農作業体験・援農活動や、都市地域での棚田の多面的機能に関する普及活動などを行い、都市と農山村の人々が相互に理解し協力し合える関係を作り上げることによって、持続可能な循環型社会を創出する」ことを目的に掲げ、さまざまな棚田支援活動を展開しています。
日本の棚田を知ってほしい
日本の水田約250万㌶の8%にあたる約22万㌶が棚田であるといわれています。 減反政策、米消費の減少、農家の高齢化などにより、今ではこの22万㌶のうちの40%以上が耕作放棄地となっていると見られます。 経済効率だけを重視していては、荒廃を止めることはできません。 食に対する不安が高まっている今こそ、ひとりでも多くの人に棚田を知ってもらいたいのです。
人と人との「つながり」をベースに
「棚田を応援したい」人のために
棚田ネットワークは、「棚田を応援したい」人のために、オーナー制度や農作業体験などの情報を紹介する活動を行っています。棚田の現状をより多くの人に知ってもらえるよう、棚田に関するデータベースづくりにも取り組んでいます。また「棚田を守りたい」棚田地域の方たちにもこの情報を役立ててもらうため、保全活動の事例を紹介したり、地域を超えた情報交換の場を提供しています。 将来的には、「棚田を通じて地域を守り、活性化させたい」という同じ願いを持ったさまざまな活動をつなぎ、うまく連携させていく役割を棚田ネットワークが担っていければ、と考えています。
棚田地域と都市部のネットワーク構築
荒廃してゆく棚田を守るために何ができるのか?
そう考えて活動を始めた棚田ネットワークも、今ではその輪が日本各地に広がり、いわゆる「都市生活者」だけでなく、「農家」側の立場の会員も含め、さまざまな職業や得意分野を持った人たちが集まり、一緒になって考え、行動しています。
代表者メッセージ
20年前、「棚田」という言葉はほとんど知られておらず、農家にとっても「お荷物」「効率の悪い田んぼ」でしかありませんでした。 いま、棚田は人と生き物をつなぎ、農村と都市をつなぎ、過去と未来をつなぐ、新しい舞台となりつつあります。 経済効率だけが唯一の価値ではありません。 棚田は別の物差し・別の生き方を示してくれます。“ 古い”棚田の中に、再生の新しい知恵がたくさんあるような気がします。
棚田ネットワーク 名誉代表
早稲田大学名誉教授
中島 峰広