■エコプロ2024~「ナイトセミナー」~報告 ・実施日 : 2024年12月5日(木) ・場 所 : 東京ビックサイトTFTビル9F会議室
・主 催 : 認定NPO法人棚田ネットワーク・講 師 :農林水産省農村振興局 課長補佐 篠崎 剛
エコプロ関係者を対象にしたナイトセミナーが開催されました。講師の篠崎様より「棚田地域振興の取り組みと課題」と題し、詳しい資料をもとに約1時間にわたり解説していただきました。後半のディスカッションでは、参加した30数名ほぼ全員から発言があり、各地の実情や課題が浮き彫りになり今後の棚田保全の在り方に一つの礎となりました。
●「棚田地域振興法」・・・同法は令和元年に成立した5年間の時限立法で、今年度末でその期限を迎えるため緊急の対応が求められている。単なる期限延長ではなく、更なる内容の向上に向けた法成立をめざしており各省庁、与野党折衝などが進められているとのことです。
●棚田事業化・・・中島名誉代表より棚田事業のトップランナーとして大山千枚田、池谷の例が紹介された。トップの収入は月30万円程で事業として成り立っているという。一方で交流施設の整った稲倉や石部でも自立は厳しいとの報告あり。棚田は金だけではない、住民300名のうち180名が移住者で人気だ(色川)
●棚田オーナー制・・・都市部から遠く会員が集まらない(別府他)。池谷や小倉千枚田、岡山の例では遠隔地だがオーナー制が成り立っている(さとふる)。交流施設とくにトイレの必要性の要望発言が目立った。 ●地域おこし協力の存在・・・棚田維持に大きな貢献をしていることは事実(稲倉、上勝など)。安易に頼りすぎるのもどうか? 職種を棚田に特化した募集は難しい。隊員募集しても応募が少ないなどの発言もあった。(色川ほか)
●情報発信・・・もっと棚田情報を発信しませんか(プレナス)。田んぼで汗水流していると褒められるが、デスクに向かっているとさぼっているように見られる風潮がまだ残っている。(稲倉)
ほとんどの地域が「新たな振興法」の成立に大きな期待を寄せる発言が目立った。一方、耕作者減で毎年1haの棚田が消えており、振興法以前の問題に直面しているいう衝撃的発言もあった(佐渡)